臨床神経学

原著

抗GM1b抗体陽性患者の臨床像

辰元 宗人, 結城 伸泰, 小鷹 昌明, 平田 幸一

獨協医科大学神経内科〔〒321-0293 栃木県下都賀郡壬生町北小林880〕

抗GM1b抗体陽性患者の臨床的特徴を明らかにするために,抗ガングリオシド抗体測定を依頼された症例の後ろ向き調査をおこなった.1,713例中200例で抗GM1b抗体が陽性で,うち166例(83%)がGuillain-Barré症候群(GBS)か,腱反射の保たれた広義のGBSであった.抗GM1b抗体は,広義のGBSであることを支持する補助検査としても位置づけられるであろう.さらに,IgG抗GQ1b抗体をともなうFisher症候群関連疾患が18例,IgG抗GD1b抗体をともなう失調型GBSが3例みられた.共存する抗体にともなう臨床像の多様性も明らかとなった.

(臨床神経, 43:149−153, 2003)
key words:抗GM1b抗体, 抗ガングリオシド抗体, Guillain-Barré症候群

(受付日:2002年12月12日)