短報
急性四肢麻痺で発症し頸髄硬膜外腫瘤をみとめた多発性骨髄腫の一例
伊藤 聖1）＃, 冨田 逸郎1）, 佐藤 秀代1）, 佐藤 聡1）, 瀬戸 牧子1）, 辻畑 光宏1）, 植松 伸久2）＃＃
1）長崎北病院神経内科〔〒852-8061 長崎市滑石5丁目4番61号〕
2）長崎市立市民病院整形外科
＃現ビハーラ花の里病院，広島
＃＃現植松整形外科
症例は76歳男性である．急性の四肢麻痺で発症し，頸椎MRIでC4-6に後方から脊髄を圧迫する紡錘形の髄外性腫瘤をみとめた．免疫グロブリン，摘出標本検査等より多発性骨髄腫IgA λ型と診断された．病初期骨髄腫による骨病変をともなわない髄外性腫瘍はまれである．しかもほとんどが胸椎レベルにみられ，頸椎での症例は他にみられなかった．頸椎での髄外性腫瘤の鑑別に，多発性骨髄腫も考慮すべきであると考え報告した．
(臨床神経, 43：119−121, 2003)
key words：multiple myeloma, epidural spinal tumor, extramedullary plasmacytoma, extraosseous epidural tumor, spinal cord compression
（受付日：2002年10月18日）
