臨床神経学

症例報告

びっくり眼と錐体路症状を呈したspinocerebellar ataxia type 2の1例

甲平 一郎1), 氏家 寛2), 二宮 庸太郎1)

1)高知県立中央病院神経内科〔〒780-0821 高知市桜井町2丁目7番33号〕
2)岡山大学大学院医歯学総合研究科精神神経病態学分野

遺伝子診断にてspinocerebellar ataxia type 2(SCA2)と確定診断した45歳の男性例を報告した.父方祖母と父と伯父に同病がみられた.43歳時より歩行障害と構音障害が出現した.初診時,神経学的にはびっくり眼,小脳失調および痙縮・足間代・腱反射亢進・病的反射陽性などの錐体路症状がみられた.MRIでは小脳・脳幹・脊髄の萎縮をみとめた.本症例はびっくり眼と錐体路症状が時にSCA2の主要症候となることを示唆している.

(臨床神経, 43:109−112, 2003)
key words:spinocerebellar ataxia type 2, SCA2, びっくり眼, 錐体路症状, 小脳失調

(受付日:2002年12月2日)