臨床神経学

症例報告

限局性血管炎性ニューロパチーの2例―皮膚結節性動脈炎と非全身性血管炎性ニューロパチーの比較―

萩原 直木, 関島 良樹, 服部 健, 橋本 隆男, 池田 修一

信州大学第3内科〔〒390-8621 長野県松本市旭3-1-1〕

皮膚結節性動脈炎(皮膚PN)にともなうニューロパチー1例と,非全身性血管炎性ニューロパチー(NSVN)の1例を報告した.両患者は多発単神経炎型の末梢神経障害,全身臓器障害の欠如,ステロイドや免疫抑制剤の有効性,予後良好な臨床経過など多くの類似点をみとめた.過去の文献からは,皮膚PNとNSVNは皮膚障害の有無,血管炎の主体をなす炎症細胞が好中球優位であるかリンパ球優位であるかが鑑別点となるが,両疾患のオーバーラップと考えられる症例の報告も報告されている.皮膚PNとNSVNはことなる分野から提唱されてきた疾患であるが,末梢神経と皮膚に限局した非全身性血管炎という同一の疾患スペクトラムとして捉えられる可能性が考えられた.

(臨床神経, 43:102−108, 2003)
key words:壊死性血管炎, 皮膚結節性動脈炎, 非全身性血管炎性ニューロパチー, 多発単神経炎

(受付日:2002年9月9日)