臨床神経学

原著

塩酸ブピバカインによる実験的筋障害で生じたhydroxyl radicalはdimethyl sulphoxide連続投与で抑制される―組織学的および生化学的検討―

杉本 英樹, 井口 裕章, 野本 信篤, 栗原 照幸, 若田 宣雄

東邦大学医学部第四内科〔〒153-8515 東京都目黒区大橋2-17-6〕

塩酸ブピバカイン(BPVC)による実験的筋障害ではhydroxyl radicalが上昇している.本研究では抗酸化物であるdimethyl sulphoxide(DMSO)を連続投与することにより,実験的筋障害後,長時間にわたりhydroxyl radicalを抑制することができることを確認した.また,組織学的所見でも再生筋直径が有意に大きくなっており,DMSOが筋障害を軽減させ,再生を早めている可能性が示唆された.本結果からはDMSOが筋疾患によっては,その進行を遅らせることができる可能性を示した.

(臨床神経, 43:1−5, 2003)
key words:塩酸ブピバカイン, hydroxyl radical, dimethyl sulphoxide, 再生筋, 筋疾患

(受付日:2002年10月9日)