臨床神経学

症例報告

皮下結節を形成せず,胸鎖乳突筋に浸潤性発育し,斜頸を呈した結節性筋膜炎の1例

逸見 祥司1), 村上 龍文1), 調 輝男2), 砂田 芳秀1)

1)川崎医科大学神経内科〔〒701-0192 岡山県倉敷市松島577〕
2)同 神経病理

結節性筋膜炎の17歳女性例を報告した.急速な右胸鎖乳突筋の腫大・硬直のため筋性斜頸をきたした.頭頸部領域における結節性筋膜炎の発症は少なく,胸鎖乳突筋に発症して斜頸を呈した報告は本例が最初である.また,皮下結節を形成せず,胸鎖乳突筋,右下顎〜頬部軟部組織,右大胸筋,頸部傍脊柱筋群など広範な領域に浸潤性発育した点も特異的であった.

(臨床神経, 42:864−867, 2002)
key words:結節性筋膜炎, 胸鎖乳突筋, 筋性斜頸, 骨格筋MRI, 筋病理組織

(受付日:2002年3月30日)