臨床神経学

短報

肥満によるインスリン抵抗性をともなったMcArdle病の1例

前田 伸也, 苅田 典生, 中澤 健一郎, 千原 和夫

神戸大学大学院応用分子医学講座(内分泌代謝・神経・血液腫瘍内科学)〔〒650-0017 神戸市中央区楠町7-5-2〕

症例は29歳女性である.左足の腫脹,疼痛,血清CK値の上昇(9,260IU/ml)のため当院入院した.筋生検組織でphosphorylase活性低下がありMcArdle病と診断した.本症例では,グルカゴン負荷による血糖上昇下での前腕阻血下運動負荷試験でも,乳酸,ピルビン酸の上昇がみとめられなかった.骨格筋での糖の取り込み障害をうたがい,グルコース・クランプ法を施行し,インスリン抵抗性を確認した.インスリン抵抗性の原因は,過食と肥満による脂肪酸の増加と考えられた.

(臨床神経, 42:632−634, 2002)
key words:McArdle病, 前腕阻血下運動負荷試験, インスリン抵抗性, グルコース・クランプ法

(受付日:2002年1月4日)