臨床神経学

短報

低カリウム性周期性四肢麻痺を呈したGitelman症候群の1例

斉木 臣二, 吉岡 亮, 斉木 三鈴, 山谷 洋子, 廣瀬 源二郎

金沢医大神経内科〔〒920-0293 石川県河北郡内灘町大学1-1〕

症例は27歳男性である.正常血圧で代謝性アルカローシスと高レニン,高アルドステロン血症をともなう低K性周期性四肢麻痺(15歳以降7回の同様発作あり)を呈した.分娩,発達は正常で,口渇や多飲などをみとめなかった.尿中Ca/Cr(モル比)が0.11と低下しGitelman症候群(GS)と診断した.GSの病因とされるサイアザイド感受性Na-Cl共輸送体(TSC)遺伝子における既知の変異点25カ所に異常をみとめなかった.わが国ではGSで周期性四肢麻痺を呈した報告例はないが,同様例はBartter症候群と報告されている可能性が高く,GSは低K性周期性四肢麻痺を呈する疾患として考慮する必要があると考えられた.

(臨床神経, 42:317−319, 2002)
key words:Gitelman症候群, Bartter症候群, 低カリウム性周期性四肢麻痺

(受付日:2002年3月14日)