臨床神経学

短報

SOD1遺伝子のCys146Arg変異を示し家系内で臨床経過がことなる家族性筋萎縮性側索硬化症

伊藤 喜美子, 内山 智之, 福武 敏夫, 新井 公人, 金坂 俊秀, 服部 孝道

千葉大学医学部神経内科〔〒260-8670 千葉県千葉市中央区亥鼻1-8-1〕

SOD1遺伝子のCys146Argの点変異を有した家族性筋萎縮性側索硬化症の兄妹例において臨床像がことなっていた.発端者は50歳時,右下肢遠位筋の筋力低下で発症し,慢性に進行し,2年後,球症状を呈した.対照的に発端者の兄は61歳時,球症状で発症し,急速に進行し,全経過2年で死亡した.Cys146Argの点変異による家族性筋萎縮性側索硬化症は既知だが,臨床像の報告ははじめてであり,家系内解離がみられた点が注目される.SOD1遺伝子変異以外の要素の関与の可能性が考えられた.

(臨床神経, 42:175−177, 2002)
key words:SOD1遺伝子, 点変異, Cys146Arg, 家族性筋萎縮性側索硬化症, 球麻痺

(受付日:2001年10月24日)