臨床神経学

短報

SPECTにて興味ある所見を呈した単純ヘルペス脳炎の1例

田野 しのぶ, 橋本 由紀子, 水野 裕司, 田中 真, 岡本 幸市

群馬大学神経内科〔〒371-8511 群馬県前橋市昭和町3-39-22〕

単純ヘルペス脳炎(HSE)と診断した51歳男性例を報告した.発熱・意識障害にて発症し,項部硬直・Kernig徴候を呈し髄液中HSV-DNAが陽性であったことからHSEと診断した.MRIで右側頭葉に病変をみとめ,亜急性期に施行したECD-SPECTでは病巣での集積低下を,IMP-SPECTでは集積増加をみとめた.集積解離の原因として病巣部位のエステラーゼ活性の低下が考えられ,ECD-SPECTは脳血流を正しく反映しない可能性がある.

(臨床神経, 42:966−969, 2002)
key words:単純ヘルペス脳炎, ECD-SPECT, IMP-SPECT

(受付日:2002年4月19日)