臨床神経学

症例報告

大量γグロブリン静注療法にて無菌性髄膜炎をくりかえし合併したCIDPの1例

加藤 武志, 鈴木 恵理, 曽根 美恵, 吉田 英治, 平山 幹生

春日井市民病院神経内科〔〒486-8510 愛知県春日井市鷹来町1-1-1〕

大量γグロブリン療法により無菌性髄膜炎を反復したCIDPの1例を報告した.症例は29歳女性,四肢遠位部の筋力低下で発症し,ステロイドの効果が減弱したため,大量γグロブリン療法を施行した.投与4日目に頭痛,項部硬直が出現し,髄液検査で細胞数,蛋白の上昇をみとめた.細菌培養,ウイルス抗体価は陰性であり,無菌性髄膜炎と診断した.9カ月後同じ治療を2日間施行したところ,ふたたび髄膜炎を合併し,γグロブリンが原因と考えられた.更に9カ月後に再度1日だけ投与したが髄膜炎は発症しなかった.CIDPにおいても大量γグロブリン療法で無菌性髄膜炎の合併をおこしうるが,γグロブリンの投与日数を短縮し,総投与量を減少させることで予防できると考えられた.

(臨床神経, 41:797−800, 2001)
key words:慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー, 無菌性髄膜炎, 大量γグロブリン静注療法

(受付日:2001年5月18日)