会長挨拶

第51回日本神経学会総会
新世代の神経学―Breakthrough to the NEXT STAGE―

第51回日本神経学会総会を2010年5月20日(木)~22日(土)に東京(東京国際フォーラム)において開催することになりました。日本神経学会としては2009年から2010年を日本神経学会50周年の祝賀の年としてとらえ、仙台で開催されました第50回総会では日本神経学会の半世紀の歴史や将来展望を講演やシンポジウムで振り返り、将来を展望しました。今回開催されます第51回総会では、本学会に関連の深い来賓の方々をお招きして記念式典を開催する予定であります。

第51回日本神経学会総会では、次の半世紀へ向けての新たな出発点と位置づけ、「新世代の神経学―Breakthrough to the NEXT STAGE―」をテーマとして設定させて頂きました。

神経学の分野は、私自身が医学生であった頃と比較しただけでも、目を見はる進歩があります。画像診断、分子遺伝学、免疫学、生理学などの分野を取り上げただけでも長足の進歩を遂げ、疾患の理解が飛躍的に深まりました。治療面では、病態機序に基づき、分子標的治療と呼ばれるような画期的な治療法の開発が進んでおり、治療面での進歩が著しいことには何よりも期待が高まります。

社会においては、少子高齢化社会を受けて、認知症(痴呆)をきたす疾患の増加、脳血管障害への対応、さらには、難病への対応と、神経内科に対して、幅広いニーズが高まってきています。医療現場では、医療の質を高め、十分な医療を提供していくことが求められています。

このような状況にあって、私達にはさまざまな課題に直面しています。卒前教育、卒後教育の充実、中でも、卒後教育の一貫として専門医を育てる充実した研修プログラムを具体化し、より多くの優れた神経内科医を育てていく必要があります。

研究面に目を向けますと、神経疾患の病因、病態の解明、より有効な治療法の確立を目指して、そのフロンティアを開拓していくこと、国際的に比肩しうる臨床研究を進めることが期待されます。

記念すべき第51回日本神経学会総会が、これからの半世紀を進むに当たり、われわれ神経内科医のプロフェッショナリズムをどのように追求していくか、新たなステージに向けてどのようにbreakthroughを目指していくか、本学会員の一人一人が考える場になればと念願しています。

第51回日本神経学会総会
会長 辻 省次