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神経内科の主な病気

スポーツ神経学(Sports Neurology)とは

 スポーツ神経学は我が国ではまだ新しい分野ですが、海外においては神経内科でも主要な一分野として位置づけられています。スポーツといっても競技的な運動ばかりでなく、体力の維持向上を目的とした身体活動(Physical Activity)や運動(Exercise)も含まれます。

 スポーツ神経学の主要な役割は以下の4つにまとめられます(AAN)。
  1)スポーツに関係した神経学的損傷についての研究と治療を行う。
  2)神経疾患を持つ患者のスポーツ参加への安全性を判断する。
  3)神経損傷の神経心理的な後遺症と日常生活に及ぼす影響を調べる。
  4)運動のもたらす神経学的な効用を理解する。

 この指針でもわかるように、スポーツ神経学はスポーツ外傷のみを対象とした分野ではなく、スポーツ(身体活動)と神経疾患の関係および神経機能に及ぼす影響など幅広い領域が対象になります。実際にスポーツ神経学で扱う疾患は多岐にわたり、例として脳振盪、脳出血、外傷後片頭痛、頸部外傷に伴う脳血管障害、ダイビングによる脳塞栓症、失神、高山病、熱射病、横紋筋融解症などがあります。

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スポーツ神経医(Sports Neurologist)とは

 我が国ではまだスポーツ神経医の位置づけ、役割は明確ではありません。一般的にはスポーツで神経学的損傷を生じた競技者を専門的に診療するために訓練を受け、資格を有した医師ですが、実際にはスポーツに伴う脳振盪や軽度な外傷性脳障害を主に診療しています。その他のスポーツ神経医の役割として、てんかん、脳卒中、神経変性疾患、多発性硬化症、片頭痛などの神経疾患を有する患者さんのスポーツ参加の可否も判断します。

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スポーツ(身体活動)・運動のもたらす神経学的な効用

 スポーツ(身体活動)・運動が神経機能の維持・向上や神経疾患の発症・進行予防に及ぼす効果については多くの報告があります。近年、都市化、生活の利便性から運動不足に陥りやすい生活環境にありますが、有酸素運動は脳の萎縮を予防し、記憶力を改善する効果もあるとされています。また、神経疾患に伴う転倒予防やうつ・痛みなどに対する改善効果も示されています。

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脳振盪について

 最も一般的な脳損傷である脳振盪のメカニズムや経過、後遺症に関してはまだ不明な点が多く、受傷時の対応はコーチや競技者のその場の判断にゆだねられていています。しかし、繰り返す脳震盪は後述する慢性外傷性脳症の原因となることがわかってきました。また、脳振盪に付随したこととして競技復帰の判断の問題もあります。脳振盪後の運動開始時期については、外傷の程度や年齢、身体状況を考慮して慎重に判断する必要があり、競技ごとに復帰ガイドラインが作成されつつあります。

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慢性外傷性脳症について

 慢性外傷性脳症は頭部への衝撃を繰り返し受けることや、脳振盪を反復することで発症する疾患で、ボクシングやフットボール、アイスホッケー、レスリングなどの接触の多いスポーツ(コンタクト・スポーツ)選手で多くみられます。アメリカンフットボールのスパースター、マイク・ウエブスターが生前にこの病気を発症していたことが剖検で判明したことから、社会的にも大きな注目を浴びるようになりました。患者は外傷を受けてから数年から数十年の経過で、記銘力低下、注意障害、易攻撃性、錯乱、抑うつ状態などの認知症の症状やパーキンソニズム、四肢の筋力低下などの症状を示すようになります。現在のところ、生前の確定診断は不可能です。しかし、MRIで脳(海馬)萎縮が経時的に進行すること、神経心理検査でも経時的に得点が低下することなどが分かってきていて、生前診断もある程度は可能になりつつあります。ただし、この病気は治療法がないので、早期に発見し、頭部への打撃を回避すること、場合によっては早期の引退に踏み切る指導をすることが重要とされています。


図1

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神経疾患患者に対するスポーツ競技への参加の問題

 神経障害を有する患者さんがスポーツ競技への参加を希望した場合や運動を行う場合、その可否は疾患によって異なります。特にパーキンソン病、認知症(アルツハイマー病)、片頭痛、てんかん、多発性硬化症などの患者さんが問題になります。しかし、実際には全ての患者さんで運動ができるとは言えず、障害の程度にも左右され、また運動を行うための支援体制や環境にも影響されます。それぞれの疾患ごとの対応方法については脳神経内科医(スポーツ神経医)にご相談ください。

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