京都市でのてんかんのある人の車運転による交通事故に関して
平成24年4月20日
日本神経学会 代表理事 水澤英洋
日本神経学会会員各位
てんかんのある人が車を運転中に痛ましい交通事故が再び発生いたしました。この件に関連して至急のご連絡がありますので、再度ご周知の程お願いいたします。
平成24年4月12日、京都市において、たいへん痛ましい交通事故が発生しました。亡くなられました7名の皆様のご冥福をお祈りいたしますとともに、ご遺族の皆様に心からお悔み申し上げます。また、負傷されました12名の皆様にお見舞い申し上げますとともに、一日も早いご快復を願っております。
報道によりますと、今回の事故はてんかんのある人の自動車運転中の交通事故でありますが、てんかん発作との関連は現時点では不明であり、捜査中であります。加害者(運転手)はてんかんの治療中であるにも係わらず、免許更新時に自己申告せずに運転免許の更新を行ったという報道もあります。
再びこのような非常に痛ましい交通事故が発生したことからも、てんかんのある人の運転免許の取得、更新に関しては、より厳格な道路交通法の適用が求められます。まず、てんかんのある人には道路交通法の遵守が強く求められます。主治医にはてんかんのある人への車の運転に関する適切な指導、道路交通法を遵守した診断書の作成および診療録への指導内容の記載が求められます。
てんかんのある人の運転免許の取得、更新については、警察庁(平成23年5月)からも関係者に周知する協力依頼があり、1)運転免許の取得時又は更新時に、警察に自身の病状を正確に申告する、2)自動車等の運転に支障がある場合、自動車等の運転を控える、3)運転免許を保有しているが自動車等の運転に支障がある状態が続く場合は、警察に相談するという内容です。
てんかんのある人の車の運転については、「道路交通法改正にともなう運転適性の判定について」として、日本てんかん学会の見解が日本てんかん学会機関誌「てんかん研究」20巻135ページ(2002)および日本てんかん学会HPに公表され、「てんかん治療ガイドライン2010」にも記載されていますので、ご参考にして下さい。
また、「日本てんかん学会の声明:てんかんのある人の運転適正について」および「社団法人日本てんかん協会の「京都市内で発生した交通死亡事故」に関する声明」を添付いたしますので、今後の診療にお役立て下さい。
会員の皆様には、てんかんのある人への更なるご指導および啓発活動をよろしくお願い申し上げます。