臨床神経学

症例報告

MRI磁化率強調画像で大脳に多発する低信号域を認めた血管内大細胞型B細胞リンパ腫の1例

津田 曜1)*, 小栗 卓也1), 櫻井 圭太2), 梶口 智弘3), 加藤 秀紀1), 湯浅 浩之1)

Corresponding author: 公立陶生病院神経内科〔〒489-8642 愛知県瀬戸市西追分町160番地〕
1)公立陶生病院神経内科
2)東京都健康長寿医療センター放射線診断科
3)公立陶生病院血液・腫瘍内科

71歳男性.異常言動と全身性痙攣にて入院.高次脳機能障害を認めたが初回頭部MRIは異常がなかった.血中LDH・可溶性IL-2受容体高値より悪性リンパ腫を疑ったが,初回骨髄穿刺と皮膚生検では腫瘍細胞を認めなかった.10日後の頭部MRI磁化率強調画像(susceptibility-weighted image; SWI)で大脳皮質・皮質直下に異常低信号域が出現,ステロイドパルス療法を行うも無効であった.後に胸部単純CTで両肺にスリガラス影が出現,経気管支肺生検と骨髄穿刺再検にて血管内大細胞型B細胞リンパ腫(intravascular large B cell lymphoma; IVLBCL)と診断した.本疾患では脳梗塞様変化を呈することが多いが,本例ではむしろ大脳のSWI低信号域が主たる所見であり,中枢神経病変による出血性変化と推測された.
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(臨床神経, 57:504−508, 2017)
key words:血管内大細胞型B 細胞リンパ腫(IVLBCL),出血性変化,核磁気共鳴画像(MRI),磁化率強調画像(SWI)

(受付日:2017年3月1日)