臨床神経学

総説

認知症の診療における核医学診断の現状と展望

伊藤 健吾1)2)3)*, 乾 好貴1), 木澤 剛1), 木村 泰之1)2), 加藤 隆司1)2)

Corresponding author: 国立長寿医療研究センター放射線診療部〔〒474-8511 愛知県大府市森岡町7丁目430番地〕
1)国立長寿医療研究センター放射線診療部
2)国立長寿医療研究センター脳機能画像診断開発部
3)国立長寿医療研究センター治験・臨床研究推進センター

アルツハイマー病(Alzheimer's disease; AD)の画像診断では,脳血流SPECTなど核医学検査をその有用性と限界を理解した上で,早期診断,鑑別診断のため診療に活かすことが重要である.現在導入されつつあるアミロイドPETは,ADの早期診断とともに鑑別診断にも極めて有用であるが,画像バイオマーカーとしては,認知症に保険適用外のFDG-PETと相補的な意味合いも持っている.また,開発中のタウPETはADのより高い精度の評価を実現するのみでなく,AD以外の認知症における応用が期待されている.今後画像バイオマーカーは薬物あるいは非薬物療法によるADへの早期介入を行う場合に,症例選択および介入による治療効果の判定において欠かせない.
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(臨床神経, 57:479−484, 2017)
key words:アルツハイマー病,SPECT,PET,アミロイド,タウ

(受付日:2017年2月10日)