臨床神経学

短報

深昏睡患者における脳波検査での光刺激による網膜電位と脳幹反射との鑑別の重要性

三橋 賢大1), 人見 健文2), 青山 晃博3), 海道 利実4), 池田 昭夫5)*, 橋 良輔1)

Corresponding author: 京都大学大学院医学研究科てんかん・運動異常生理学〔〒606-8507 京都府京都市左京区聖護院川原町54〕
1)京都大学大学院医学研究科臨床神経学
2)京都大学大学院医学研究科臨床病態検査学
3)京都大学大学院医学研究科呼吸器外科学
4)京都大学大学院医学研究科肝胆膵・移植外科学
5)京都大学大学院医学研究科てんかん・運動異常生理学

症例1:35歳女性,肺手術後に脳出血を生じ,深昏睡となった.症例2:39歳女性,肝臓手術後に小脳出血を生じ,深昏睡となった.両例で頭皮上脳波検査を施行し,2例とも電気的大脳無活動を呈したが,光刺激に同期した電位を両側前頭極電極に認めた.その振幅及び潜時は症例1で17µV,24msec,症例2で9µV,27msecであった.分布・潜時から網膜電位と判断した.また,症例2では片眼光刺激も行われ刺激側のみに同様の電位を認めた.深昏睡患者および脳死とされうる状態の患者の脳波検査における光刺激では,光眼輪筋反射の有無に着目することにより脳幹機能を評価できる.その際には網膜電位との鑑別を必要とする.
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(臨床神経, 57:457−460, 2017)
key words:網膜電位,光眼輪筋反射,光刺激,頭皮上脳波

(受付日:2017年4月16日)