臨床神経学

症例報告

前頭葉症状で初発したhereditary sensory and autonomic neuropathy 1E(HSAN1E)の1例

渡部 真志1)*, 松本 雄志1), 岡本 憲省1), 奥田 文悟1), 水田 依久子2), 水野 敏樹2)

Corresponding author: 愛媛県立中央病院神経内科〔〒790-0024 愛媛県松山市春日町83〕
1)愛媛県立中央病院神経内科
2)京都府立医科大学大学院医学研究科神経内科学

症例は49歳男性.5年前から人格変化,歩行障害,難聴が徐々に進行した.前頭葉徴候,吃り,垂直性眼球運動障害,筋固縮,失調,両下肢の腱反射消失と深部覚優位の感覚障害を認めた.前頭葉優位の大脳半球,小脳,中脳被蓋に萎縮が見られた.進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy; PSP)を疑ったが,神経伝導検査ではSNAPが誘発不能であり,常染色体優性遺伝性ニューロパチーの家族歴が判明した.DNA methyltransferase 1(DNMT1)遺伝子のp.Y495H変異を認めhereditary sensory and autonomic neuropathy 1E(HSAN1E)と診断した.プリオン蛋白遺伝子検査ではp.M232R変異も判明した.HSAN1Eでは前頭葉症状で発症しPSP様の症状を呈する例が存在する.
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(臨床神経, 57:753−758, 2017)
key words:hereditary sensory and autonomic neuropathy 1E (HSAN1E),DNMT1遺伝子,前頭葉機能障害,進行性核上性麻痺,プリオン遺伝子

(受付日:2017年4月4日)