臨床神経学

短報

完全寛解と診断後に頭蓋内に再発したと考えられた血管免疫芽球性T細胞リンパ腫の1例

間所 佑太1), 水野 将行1), 大喜多 賢治1), 萩原 真也2), 伊藤 旭2), 松川 則之1)*

Corresponding author:名古屋市立大学病院神経内科〔〒467-8602 愛知県名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1番地〕
1)名古屋市立大学病院神経内科
2)名古屋市立大学病院血液内科

症例は46歳の女性である.2013年6月に下顎リンパ節腫脹があり,明るい細胞質を有する中型リンパ球等の増生所見と免疫染色の結果から血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(angioimmunoblastic T-cell lymphoma;AITL)と診断,化学療法を行い,同年12月に完全寛解と判断された.翌年5月から同じことを何度も聞くようになり,当科を受診した.記銘力障害,髄液細胞数・蛋白の上昇,MRIでの両側乳頭体や視床周囲の造影効果を伴うFLAIR高信号域を認めた.脳生検にてAITLの再発と診断した.AITLの頭蓋内再発は報告がないが,経過中に中枢神経症状を合併した場合はその可能性を考慮すべきである.
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(臨床神経, 56:112−115, 2016)
key words:血管免疫芽球性T細胞リンパ腫,悪性リンパ腫,頭蓋内再発

(受付日:2015年8月27日)