臨床神経学

原著

重症筋無力症患者における心電図所見の解析

津川 潤1), 小川 正浩2), 合馬 慎二1), 深江 治郎1), 坪井 義夫1)*

Corresponding author: 福岡大学医学部神経内科学教室〔〒814-0180 福岡市城南区七隈7-45-1〕
1)福岡大学医学部神経内科学
2)福岡大学医学部心臓・血管内科学

われわれは重症筋無力症(myasthenia gravis; MG)と心疾患の合併について検討するため,MG患者53例の入院時心電図所見を解析した.33例(62.2%)に心電図異常を認め,異常所見としては早期再分極が最も多くみられた.早期再分極の頻度は健常者の有病率と比較して高い傾向が認められた.本研究から,MG患者における心電図異常の頻度は高いことが示され,高齢MGの増加も要因の一つと考えられるが,非高齢者でも重篤な心疾患を合併する場合があり,原疾患および喫煙との関連が推察された.また早期再分極の頻度が高く,今後MGにまれに伴う突然死との関連の検討が必要であると考えられた.
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(臨床神経, 56:832−836, 2016)
key words:重症筋無力症,心電図所見,胸腺腫,早期再分極,心筋炎

(受付日:2015年12月31日)