臨床神経学

短報

病理学的に髄膜アミロイドーシスが確認されたGly47Arg変異型ATTRアミロイドーシスの1剖検例

上原 拓也1)2)*, 角田 渓太1)2), 隅 寿恵2), 山内 周3), 望月 秀樹2), 中 隆1)

Corresponding author: 大阪大学大学院医学系研究科神経内科学〔〒565-0871 吹田市山田丘2-2〕
1)市立東大阪医療センター神経内科
2)大阪大学神経内科・脳卒中科
3)市立東大阪医療センター病理診断科

症例は47歳女性.母親が原因不明の多臓器不全.4年前から両下肢の痺れ感が出現し,起立時に失神した.徐々に失神回数が増え下痢と便秘を繰り返すようになった.診察上,下肢優位感覚優位の末梢神経障害と高度な自律神経障害を認めた.心筋生検にてアミロイド沈着とトランスサイレチン遺伝子変異(Gly47Arg;G47R)が判明したが,多臓器不全のため積極的な治療は行えなかった.数か月にわたって徐々に意識が低下し,多臓器不全にて死亡した.解剖の結果,末梢神経系と一般臓器のみならず,クモ膜下腔および脊髄脳幹の表層に高度なアミロイド沈着を認めた.G47R変異が髄膜アミロイドーシスを引き起こすことを示した初の症例報告である.
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(臨床神経, 56:777−780, 2016)
key words:ATTRアミロイドーシス,家族性アミロイドポリニューロパチー,髄膜アミロイドーシス,剖検症例

(受付日:2016年5月10日)