臨床神経学

症例報告

緊急脳血管内血行再建術中に血管外漏出所見を捉えた脳塞栓症の1例

松原 崇一朗1)*, 渡邉 聖樹1), 井上 泰輝1), 安東 由喜雄1)

Corresponding author: 熊本大学大学院生命科学研究部神経内科学分野〔〒860-8556 熊本県熊本市中央区本荘1-1-1〕
1)熊本大学大学院生命科学研究部神経内科学分野

症例は81歳の男性である.右片麻痺・全失語をみとめ,頭部MRAで左中大脳動脈水平部(M1)近位部閉塞をみとめた.発症132分でrecombinant tissue plasminogen activator(rt-PA)静注療法を実施するも臨床症状に改善なく,緊急脳血管内血行再建術に移行した.Penumbra® systemにより部分再開通をえたが(TICI 1),発症376分より左レンズ核線条体動脈領域に血管外漏出所見をみとめ,複数の穿通枝へと拡大した.頭部CTで,左基底核領域に血腫をともなった出血性梗塞をみとめた.緊急脳血管内血行再建術中に血管外漏出所見を経時的に捉えた報告は少ない.本症例は血管炎の既往を有し,症候性頭蓋内出血に寄与した可能性を考慮し,報告する.
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(臨床神経, 55:478−482, 2015)
key words:脳塞栓症,血管炎,血管外漏出,血管内治療

(受付日:2014年10月16日)