臨床神経学

短報

ワルファリン内服中にハムストリング内に血腫を発症し,超音波検査による病態評価が有用であった1例

宮川 晋治1)*, 荒井あゆみ2), 三村 秀毅1), 井口 保之1)

Corresponding author: 東京慈恵会医科大学附属病院神経内科〔〒105-8461 東京都港区西新橋3-25-8〕
1)東京慈恵会医科大学附属病院神経内科
2)東京慈恵会医科大学附属病院放射線部

症例は75歳の男性である.右中大脳動脈領域の心原性脳塞栓症のため左片麻痺が残存していた.脳梗塞の二次予防にワルファリンを投与し,PT-INRは治療至適範囲内であった.左大腿部の疼痛を訴え,超音波検査・大腿部単純CTでは,左ハムストリングに巨大な筋肉内血腫をみとめた.筋肉内血腫は保存的加療により縮小した.筋肉内血腫に対する超音波検査をもちいた経時的観察は,診断および病態評価に有用であった.抗血栓薬投与中に下肢に痛みと腫脹を訴えるばあいには超音波検査で筋肉内血腫の有無を積極的に評価すべきである.
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(臨床神経, 55:353−355, 2015)
key words:筋肉内血腫,超音波検査,ワルファリン,心原性脳塞栓症,ハムストリング

(受付日:2014年7月20日)