臨床神経学

短報

メトロニダゾール誘発性脳症の1例
―画像の経時的変化―

音成 秀一郎1), 金谷 雄平1), 竹島 慎一1), 吉本 武史1), 田中 朗雄2), 栗山 勝1)*

Corresponding author: 脳神経センター大田記念病院脳神経内科〔〒720-0825 広島県福山市沖野上町3-6-28〕
1)脳神経センター大田記念病院脳神経内科
2)脳神経センター大田記念病院放射線科

症例は66歳女性である.脳膿瘍で排膿術施行され,以後はメトロニダゾール2 g/日を投与された.30日目より嘔気出現し徐々に悪化,45日目に昏迷になった.意識変容,軽度の前庭障害と構音障害をみとめた.頭部MRIは脳梁膨大部,小脳歯状核,脳幹部下丘にDWIおよびFLAIRで高信号変化を両側対称性にみとめた.脳梁膨大部のapparent diffusion coefficient(ADC)は低下,MRSで乳酸のピーク上昇をみとめた.メトロニダゾール誘発性脳症と診断し,同薬剤を中止し,症状は改善し14日目に軽快退院した.小脳歯状核および脳幹病変は,血管障害性浮腫と思われ5〜10日目には消失したが,脳梁膨大部病変は細胞毒性浮腫と思われ40日目まで残存した.
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(臨床神経, 55:174−177, 2015)
key words:メトロニダゾール誘発性脳症,脳膿瘍,脳梁膨大部,ADC,細胞毒性浮腫

(受付日:2014年5月7日)