臨床神経学

短報

急速進行性の脊髄症を呈しランダム皮膚生検でのみ診断しえた血管内リンパ腫の1例

山ア 英一1)*, 今井 啓輔1),濱中 正嗣1), 山田 丈弘1), 傳 和眞1), 山本 敦史1), 堤※ 康彦2)(常用漢字で表記しています)

Corresponding author: 京都第一赤十字病院脳神経・脳卒中科〔〒605-0981 京都市東山区本町15-749〕
1)京都第一赤十字病院脳神経・脳卒中科
2)京都第一赤十字病院血液内科

症例は64歳女性である.不全対麻痺,Th10以下の全感覚低下と異常感覚を呈し,亜急性の経過で対麻痺が進行した.急性脊髄症で入院となった.来院時MRIにて長大な胸髄病変,腹部CTで左腎腫瘤をみとめた.入院後に対麻痺が急速進行し,ステロイドパルス療法と経口ステロイドによる後療法を実施したが改善しなかった.骨髄穿刺と病変からの生検では診断できず,最終的にステロイド終了後のランダム皮膚生検にて血管内リンパ腫と診断した.血管内大細胞型B細胞性リンパ腫による脊髄症は急性増悪しうるため早期診断が必要であり,病変自体の生検だけでなく,ランダム皮膚生検もすみやかに実施すべきである.
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(臨床神経, 55:115−118, 2015)
key words:急性脊髄症,血管内大細胞型B細胞性リンパ腫,ランダム皮膚生検,脊髄生検,ステロイド療法

(受付日:2014年3月29日)