臨床神経学

症例報告

片側の椎骨動脈解離により生じた両側延髄内側梗塞の1例

秋本 高義1), 原 誠1)*, 齋藤 磨理1), 高橋 恵子1), 亀井 聡1)

Corresponding author: 日本大学医学部内科学系神経内科学分野〔〒173-8610 東京都板橋区大谷口上町30-1〕
1)日本大学医学部内科学系神経内科学分野

症例は34歳男性.右後頸部痛を自覚し,その後,四肢のしびれ感が出現し当院を受診した.右不全片麻痺と右半身の感覚低下を認め,2時間後には構音障害と上眼瞼向眼振が出現し,麻痺と感覚障害が四肢に進展した.頭部MRI拡散強調画像にて中下部延髄の両側の腹側から背側に及ぶ高信号を認め両側延髄内側梗塞と診断した.3D-CT angiographyで右椎骨動脈の動脈解離が原因と考えられた.アルガトロバン,エダラボン,グリセリン,クロピドグレルを投与し,第30病日にリハビリ病院へ転院となった.延髄内側を栄養する血管が片側性に支配される場合には一側の解離により両側延髄内側梗塞をおこす可能性があることが示唆された.
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(臨床神経, 55:748−752, 2015)
key words:頸部痛,両側延髄内側梗塞,heart appearance,Three dimentional CT angiography,pearl and string sign

(受付日:2015年4月15日)