臨床神経学

短報

若年性脳梗塞を発症しFabry病類似のT1-weighted imaging-pulvinar signを呈したTurner症候群の1例

高 尚均1)*, 河野 彬子1), 山野井 貴彦1), 徳永 惠子1)

Corresponding author: 上尾中央総合病院神経内科〔〒362-8588 埼玉県上尾市柏座1-10-10〕
1)上尾中央総合病院神経内科

症例は39歳女性である.数日の経過で進行する右上下肢脱力のため当科へ入院した.頭部MRIで左内包後脚から放線冠にかけて急性期脳梗塞像と両側中大脳動脈狭窄,および両側視床枕に対称性のT1強調画像高信号所見をみとめた.同部位はT2強調画像では信号変化を示さず,Fabry病を示唆するとされているT1-weightedimaging-pulvinar sign(T1 pulvinar sign)を呈していた.若年性脳梗塞の原因としてFabry病をうたがい遺伝子検査を実施したが,α-galactosidase A 遺伝子の全エクソンおよびその近傍のイントロン配列に変異をみとめず,Fabry病は否定された.身体表現型異常には乏しかったものの,低身長や稀発月経の存在からTurner症候群を考え染色体検査を施行したところ,モノソミーXと環状X(60%:40%)モザイクのTurner症候群であることが判明した.Turner症候群でのT1 pulvinar signはこれまで報告がなく,貴重な症例と考えられた.
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(臨床神経, 54:440−443, 2014)
key words:Turner 症候群,若年性脳梗塞,T1 pulvinar sign

(受付日:2013年8月31日)