臨床神経学

短報

遺伝性出血性毛細血管拡張症において肺動静脈奇形を介し脳膿瘍を発症した1例

辻本 考平1), 森谷 真之1)2)*, 屋嘉 恵子1), 川ア 裕子1), 仲谷 利栄1), 那波 一郎1), 中野 美佐1), 巽 千賀夫1), 保本 卓3), 河原 隆二4)

Corresponding author: 市立豊中病院神経内科〔〒560-8565 大阪府豊中市柴原町4丁目14番1号〕
1)市立豊中病院神経内科
2)市立豊中病院リハビリテーション科
3)市立豊中病院放射線科
4)大阪府立公衆衛生究所感染症部細菌課

症例は66歳男性である.55歳時に遺伝性出血性毛細血管拡張症(hereditary hemorrhagic telangiectasia; HHT)と診断,65歳時に胸部造影CTにて肺動静脈奇形(pulmonary arteriovenous malformation; PAVM)の存在を指摘されていた.頭痛,右同名半盲,右上下肢不全麻痺が出現し入院となった.頭部造影MRIにて左後頭葉や頭頂葉に輪状に造影される病変を多数みとめ,肺動静脈奇形を介した脳膿瘍を発症したと考えられた.穿頭ドレナージ術,PAVMに対するコイル塞栓術を施行し,症候は後遺症なく軽快した.PAVMを指摘されている患者においては,無症候でも早期に塞栓術を考慮する必要性が示唆された.
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(臨床神経, 54:330−333, 2014)
key words:遺伝性出血性毛細血管拡張症,脳膿瘍,肺動静脈奇形,Fusobacterium

(受付日:2013年4月25日)