臨床神経学

短報

B型インフルエンザ罹患後に非痙攣性てんかん重積状態をきたした1例

宇根 隼人1), 上原 平1), 立石 貴久1), 重藤 寛史1), 大八木 保政1), 吉良 潤一1)*

Corresponding author: 九州大学大学院医学研究院神経内科学〔〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1〕
1)九州大学大学院医学研究院神経内科学

症例は24歳女性である.B型インフルエンザ罹患後,第9病日に意識障害をきたした.痙攣はみとめなかったが,脳波にててんかん性放電が持続しており,非痙攣性てんかん重積状態(non-convulsive status epilepticus;NCSE)と診断した.インフルエンザ脳症をうたがいステロイドパルス療法をおこない,その後プレドニゾロンの経口投与をおこなった.NCSEに対しては抗てんかん薬の投与をおこない,意識状態および脳波所見の改善をみとめた.NCSEの原因として,インフルエンザ脳症,あるいは元々てんかんの素因がありインフルエンザ感染によって惹起された病態が考えられた.
Full Text of this Article in Japanese PDF (1838K)

(臨床神経, 54:227−230, 2014)
key words:非痙攣性てんかん重積状態,インフルエンザ脳症,インフルエンザ,IL-6,TNF-α

(受付日:2013年3月15日)