臨床神経学

<レクチャーシリーズ 06-2> 診療に役立つ遺伝性ニューロパチーの話

遺伝性アミロイドニューロパチーの多様性と診断・治療のポイント

関島 良樹1)2)

1)信州大学医学部脳神経内科,リウマチ・膠原病内科〔〒390-8621 松本市旭3-1-1〕
2)信州大学バイオメディカル研究所

遺伝性アミロイドポリニューロパチーのほとんどを占める遺伝性ATTRアミロイドーシスは,トランスサイレチン(TTR)遺伝子変異を原因とする常染色体優性の遺伝性疾患である.本症は全身性アミロイドーシスであり,多発ニューロパチー,自律神経障害,心症状,眼症状など多彩な症状が様々な組み合わせで出現する.診断には上記の症状に加え,組織へのアミロイド沈着とTTR遺伝子変異を証明する必要がある.本症に対してはすでに肝移植の有効性が確立しているが,近年TTR四量体安定化薬の有効性が臨床試験で証明され,2013年にタファミジスが治療薬として認可された.本症は治療可能な遺伝性ニューロパチーであり,早期診断が非常に重要である.
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(臨床神経, 54:953−956, 2014)
key words:ATTRアミロイドーシス,家族性アミロイドポリニューロパチー,トランスサイレチン,ジフルニサル,タファミジス

(受付日:2014年5月23日)