臨床神経学

<Symposium 30-4> 筋炎の病態研究の最近の進歩

封入体筋炎の診断基準と病態に関する最近の知見

青木 正志1), 鈴木 直輝1), 加藤 昌昭1), 割田 仁1)

1)東北大学大学院医学系研究科神経内科所属〔〒980-8574 宮城県仙台市青葉区星陵町1-1〕

封入体筋炎(sIBM)は骨格筋に縁取り空胞と呼ばれる特徴的な組織変化を生じ炎症細胞浸潤をともなう疾患である.厚生労働省,希少難治性筋疾患班ではsIBMの患者数把握・診断・治療改善に関する取組を継続しておこなっている.現在日本には1,000〜1,500人前後のIBM患者がいると考えられる.筋病理をもちいたTDP43, p62などの検討も各施設でおこなわれており,診断マーカーとしても検討がおこなわれている.さらに2013年にはIBM患者血清中に抗cytosolic 5'-nucleotidase 1A(cN1A)抗体が存在するという報告もある.さらに現状では治療法が無い難病であるが,IBMに対するアクチビンのタイプII受容体をターゲットにした拮抗薬の治験も進行中である.
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(臨床神経, 54:1115−1118, 2014)
key words:封入体筋炎,縁取り空胞,炎症,変性

(受付日:2014年5月24日)