臨床神経学

<Symposium 17-3> 運動ニューロン興奮性増大はALS病態の本質か?
―Fasciculationの電気生理学―

運動神経興奮性増大の観点からみたALS病態の解明および治療法の開発

澁谷 和幹1), 三澤 園子1), 桑原 聡1)

1)千葉大学大学院医学研究院神経内科学〔〒260-8670 千葉市中央区亥鼻1-8-1〕

広範な線維束性収縮は筋萎縮性側索硬化症(ALS)を特徴づける症状であり,神経原性筋萎縮を呈する疾患の中でALSにほぼ特異的な所見である.線維束性収縮の多くは下位運動ニューロン軸索遠位部起源であり,軸索の機能障害・興奮性増大を基盤としている.ALSの皮質および下位運動ニューロンおよび軸索の興奮性を評価した研究では,興奮性増大の所見が報告されており,これが運動神経細胞死とかかわっていると推測されている.これらの所見に基づいて,運動ニューロンおよび軸索の興奮性を抑制することにより,ALSの病態進行を抑制できるかを検討するため,メキシレチン塩酸塩をもちいた臨床試験が実施されている.
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(臨床神経, 54:1086−1088, 2014)
key words:線維束性収縮,解離性小手筋萎縮,興奮性増大,軸索興奮性,Na電流

(受付日:2014年5月23日)