臨床神経学

<Symposium 06-3> 神経感染症における日本からの新たな発信

JCウイルスゲノムの新しい検出―PMLへの臨床応用

中道 一生1), 林 昌宏1), 西條 政幸1)

1)国立感染症研究所ウイルス第一部〔〒162-8640 東京都新宿区戸山1-23-1〕

進行性多巣性白質脳症(PML)はJCウイルス(JCV)に起因する中枢神経疾患である.PMLの診断では,脳脊髄液中のJCVのゲノムDNAを標的としたリアルタイムPCR検査が一般的である.しかし,この検査には偽陽性のリスクがあり,その可能性を解析するための新技術が必要である.PML患者において検出されるJCVには,ウイルスゲノムの調節領域に多様な変異が生じる.この特性を応用し,高解像度融解曲線分析をもちいて調節領域の変異を患者レベルで識別するための検査系を開発した.本検査系をルーチン検査後のPMLの確認検査にもちいることで,JCVゲノムの変異の有無,および汚染による偽陽性などを迅速に解析することが可能である.
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(臨床神経, 54:1028−1030, 2014)
key words:進行性多巣性白質脳症,JCウイルス,リアルタイムPCR,高解像度融解曲線分析

(受付日:2014年5月21日)