臨床神経学

<Symposium 05-3> 遺伝性痙性対麻痺の最新情報

HSPの分子遺伝学と遺伝子診断

石浦 浩之1)

1)東京大学神経内科〔〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1〕

遺伝性痙性対麻痺は下肢の痙性を主徴とする多様な神経変性疾患である.常染色体優性遺伝症例ではSPG4の頻度が多く,その他の病型を合わせ約60%の症例で変異が同定される.常染色体劣性遺伝症例では従来診断にいたる例は多くなかったが,次世代シーケンサーの登場により変異の同定率は4割を超える程に上昇した.一方,X染色体連鎖遺伝症例やミトコンドリア症例はまれである.非常に多くの遺伝子が一度に解析できる時代ではあるが,遺伝子診断を考える上で,家族歴と臨床型を鑑み,頻度の高い方から検討をおこなう鉄則には変化はない.遺伝子未同定家系,孤発例の遺伝学的基盤の解明は今後の大きな課題である.
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(臨床神経, 54:1016−1017, 2014)
key words:遺伝性痙性対麻痺,分子遺伝学,遺伝子診断,次世代シーケンサー,エクソーム解析

(受付日:2014年5月21日)