臨床神経学

原著

慢性硬膜下血腫における痙攣発作発現の病態についての臨床的検討:ケースコントロール研究

音成 秀一郎1), 関原 嘉信2), 石井 則宏2), 佐藤 倫由2), 大田 慎三2), 栗山 勝1)*

Corresponding author: 脳神経センター大田記念病院脳神経内科〔〒720-0825 広島県福山市沖野上町3-6-28〕
1)脳神経センター大田記念病院脳神経内科
2)脳神経センター大田記念病院脳神経外科

硬膜下血腫患者連続1,009症例を対象とし,痙攣を併発した26例(2.6%)のうち血腫が痙攣を誘発した可能性のある20例をケース(痙攣群)として,性,年齢,手術の有無を1:2にマッチさせたコントロール群(非痙攣群)40例と比較した.痙攣群で認知症が多かったが,その他臨床項目で差異はみとめなかった.痙攣群で両側性血腫が多い傾向であり,MRIのFLAIR画像における脳溝の高信号(sulcal hyperintensity)を呈する症例が有意に多く,この所見を呈する症例はCT画像では混合性血腫内容を呈するものが多かった.血腫内容が脳実質へ浸潤して,刺激成分が痙攣を誘発する機序が推測された.
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(臨床神経, 54:869−875, 2014)
key words:慢性硬膜下血腫,痙攣,混合性血腫,FLAIR,脳溝高信号

(受付日:2014年1月7日)