臨床神経学

症例報告

シクロフォスファミドが奏功した脳アミロイドアンギオパチー関連白質脳症の1例

萩原 悠太1)*, 柳澤 俊之1), 熱海 千尋1), 眞木 二葉1), 清水 高弘1), 長谷川 泰弘1)

Corresponding author: 聖マリアンナ医科大学神経内科〔〒216-8511 神奈川県川崎市宮前区菅生2-16-1〕
1)聖マリアンナ医科大学神経内科

症例は78歳の女性である.MRIで両側前頭葉に白質病変をみとめ,認知機能障害,右片麻痺が進行し紹介入院となった.原因は特定されなかったがステロイドパルス療法にて病巣,症状ともに改善し退院した.3ヵ月後同症状が再燃,MRIで白質病巣が拡大し再入院となった.ステロイドパルス療法をおこなうも症状は進行した.MRI T2*画像と合わせ脳アミロイドアンギオパチー関連炎症(cerebral amyloid angiopathy related inflammation;CAA-I)と診断しシクロフォスファミド(CPA)パルス療法を2クール施行.白質病変とともに意識障害,片麻痺は改善し独歩にて退院した.わが国ではCAA-IへのCPA投与は報告がないが,ステロイド抵抗性のばあいは早期からもちいるべきものと思われる.
Full Text of this Article in Japanese PDF (2811K)

(臨床神経, 54:46−51, 2014)
key words:脳アミロイドアンギオパチー関連白質脳症,シクロフォスファミド,アポリポ蛋白E

(受付日:2013年6月17日)