臨床神経学

症例報告

肥大型心筋症と左室緻密化障害が判明した若年型neuronal ceroid-lipofuscinosisの1例

村田 真野1)*, 柏木 充1), 田辺 卓也2), 蘆田 温子1), 尾崎 智康3), 玉井 浩3)

Corresponding author: 市立枚方市民病院小児科〔〒573-1013 大阪府枚方市禁野本町2-14-1〕
1)市立枚方市民病院小児科
2)田辺・門林こどもクリニック
3)大阪医科大学小児科

症例は17歳女性である.若年型neuronal ceroid-lipofuscinosis(NCL)はリポフスチン様顆粒が多臓器に蓄積する遺伝性の進行性疾患であり,様々な合併症に留意が必要である.若年型NCLそのものが稀少疾患であるため,その心臓合併症の詳細については知られていない.今回われわれは,17歳時に心臓超音波検査で肥大型心筋症および左室緻密化障害合併と診断した若年型NCLの1例を経験した.左室緻密化障害の報告例はわれわれが知るかぎり国内外ではじめてである.若年型NCLは加齢とともに心臓合併症をともなうリスクが高くなり,定期的に心臓の評価をおこない慎重な経過観察が必要である.主に若年型NCLの心臓合併症について文献的考察を加えて報告する.
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(臨床神経, 54:38−45, 2014)
key words:若年型neuronal ceroid-lipofuscinosis,肥大型心筋症,左室緻密化障害

(受付日:2013年5月20日)