臨床神経学

症例報告

頭頸部におきた急速進行性局在性筋炎の1例

北澤 悠1)*, 近藤 公一1), 菅谷 慶三1), 水谷 俊雄2), 松原 四郎1)

Corresponding author: 都立神経病院脳神経内科〔〒183-0042 東京都府中市武蔵台2-6-1〕
1)都立神経病院脳神経内科
2)都立府中療育センター

症例は46歳女性である.増悪寛解をくりかえす多発関節痛が3ヵ月持続した後に,頸部に有痛性の腫瘤が出現した.頸部の結節は急速に増大し,血清CK値の上昇をともなった.局在性筋炎の診断にて副腎皮質ステロイドを投与したところ,すみやかな症状改善をみた.頸部結節の生検では強い炎症細胞浸潤の病巣が散在している筋組織をみとめた.浸潤細胞の一部は互いに密に接触し,部分的に融合の傾向を示し,肉芽腫様の形態を示した.本例は局在性筋炎と肉芽腫性筋炎の類縁性を示唆すると考える.
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(臨床神経, 54:10−15, 2014)
key words:局在性筋炎,肉芽腫性筋炎,胸鎖乳突筋,CD4陽性細胞,副腎皮質ステロイド

(受付日:2012年7月1日)