臨床神経学

症例報告

雷鳴頭痛と皮質性くも膜下出血で発症し,長期経過を観察したreversible cerebral vasoconstriction syndromeの1例

小倉 礼1), 鈴木 淳一郎1)2), 今井 和憲1), 西田 卓1), 加藤 隆士1)3), 安田 武司1), 伊藤 泰広1)*

Corresponding author: トヨタ記念病院脳卒中センター神経内科〔〒471-8513 愛知県豊田市平和町1-1〕
1)トヨタ記念病院脳卒中センター神経内科
2)現:名古屋大学神経内科
3)現:グレイス病院

症例は59歳女性である.雷鳴頭痛で発症し,画像上皮質性くも膜下出血(cSAH)を呈し,脳血管造影でreversible cerebral vasoconstriction syndrome(RCVS)と診断した.脳血管収縮は当初MRAでは検出できず,後にWillis動脈輪周囲に収縮像が出現し,頭痛と血管収縮の出現には時間差があった.臨床症状も頭部CT/MRI/MRA所見も可逆性で転帰は良好に思われたが,脳血流シンチグラフィー(SEPCT)eZIS画像でcSAHをきたした部位の血流低下は15ヵ月後も回復せず非可逆的な可能性が示唆された.SEPCTはRCVSの障害部位を検出する上で有効と考えられた.
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(臨床神経, 53:618−623, 2013)
key words:reversible cerebral vasoconstriction syndrome,雷鳴頭痛,皮質性くも膜下出血,脳血流シンチグラフィー,eZIS

(受付日:2012年7月17日)