臨床神経学

短報

細菌性髄膜炎の経過中に"Mount Fuji sign"画像所見を呈した緊張性気脳症の1例

姫野 隆洋1), 竹島 慎一1), 久保 智司1), 原 直之1), 高松 和弘1), 栗山 勝1)*

Corresponding author: 脳神経センター大田記念病院脳神経内科〔〒720-0825 広島県福山市沖野上町3丁目6-28〕
1)脳神経センター大田記念病院脳神経内科

症例は39歳男性である.蝶形骨洞炎から波及し細菌性髄膜炎を発症した.抗菌薬で順調に経過していたが,意識障害,対麻痺が出現し,頭部CTでMount Fuji signをみとめ,緊張性気脳症の合併と診断した.髄膜炎は順調な経過なので,外科的処置はせず,保存的に治療し治癒した.緊張性気脳症の発生機序は,蝶形骨洞から脳内への瘻孔,髄液採取時の一時的な髄液圧低下,外気流入とチェックバルブ機構などを推定したが詳細な機序は不明.気脳症は細菌性髄膜炎の合併症の一つであるが,蝶形骨洞炎からの細菌性髄膜炎では,気脳症の合併に注意が必要である.緊張性気脳症の診断での特徴的なMount Fuji signの重要性を強調した.
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(臨床神経, 53:478−481, 2013)
key words:細菌性髄膜炎,緊張性気脳症,蝶形骨洞炎,Mount Fuji sign

(受付日:2012年11月8日)