臨床神経学

原著

種々の疾患にともなう首下がり症候群の病態生理学的分析
―表面筋電図所見と理学療法の効果から―

林 欣霓1), 長岡 正範2)*, 林 康子2), 米澤 郁穂1)

Corresponding author: 順天堂大学大学院リハビリテーショ ン医学〔〒113-8421 東京都文京区本郷2-1-1〕
1)順天堂大学大学院整形外科学
2)順天堂大学大学院リハビリテーション医学

種々の疾患に合併する首下がりの病態を,理学的所見・レントゲン所見・表面筋電図分析と理学療法による治療結果から検討した.対象はパーキンソン病5例,多系統萎縮症5例,変形性頸椎症3例,その他3例であった.いずれの症例も,肩甲挙筋の筋膨隆や表面筋電図上頸部後屈筋群の持続的筋活動を特徴とし,胸鎖乳突筋の活動亢進をみとめない点で共通していた.16例中14例に頸部の屈筋の伸長や頸椎から骨盤・四肢の可動性を高めるように理学療法をおこない,6例(43%)で改善がみられた.パーキンソン病や頸椎症の首下がりに関して1次的病態はなお不明であるが,いずれの疾患も首下がりにともなう共通の2次的病態を生じ,これは理学療法の対象となる.
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(臨床神経, 53:430−438, 2013)
key words:首下がり,理学療法,姿勢異常,表面筋電図

(受付日:2012年10月23日)