臨床神経学

短報

Ocular neuromyotoniaを呈したTolosa-Hunt症候群の1例

大平 明彦1)*, 園部 愛1)

Corresponding author: 東京女子医科大学眼科学教室〔〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1〕
1)東京女子医科大学眼科学教室

症例は27歳の女性で,左方視時の複視と左側の頭痛ならびに頬部のしびれ感を8ヵ月前から自覚した.初診時に左眼の上転・外転の軽度制限と左側三叉神経眼枝支配領域の感覚鈍麻をみとめた.初診5ヵ月後には左眼視神経障害が出現し,MRIにて左側海綿静脈洞から眼窩尖端部に占拠性病変をみとめた.右方視継続後に左眼ocular neuromyotoniaと複視が出現した.起床時にも同様の発作をほぼ毎日生じた.プレドニゾロン内服により頭痛・視神経障害は2日でほぼ消退し,複視も4日後には出現しなくなった.Ocular neuromyotoniaがTolosa-Hunt症候群に合併したまれな報告例である.
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(臨床神経, 53:376−379, 2013)
key words:ocular neuromyotonia,Tolosa-Hunt症候群,ステロイド治療

(受付日:2012年9月3日)