臨床神経学

<シンポジウム(1)―1―1>パーキンソン病の初期診断

Premotor phaseの非運動症状

高橋 一司1)

1)東京都立神経病院脳神経内科〔〒183-0042 東京都府中市武蔵台2-6-1〕

パーキンソン病(Parkinson's disease; PD)の臨床診断は運動症状によってなされるが,発症時にほとんどの患者で多彩な非運動症状が出現している.疫学研究から非運動症状の一部が運動症状以前(premotorphase)からみとめられるというエビデンスが示され,Braakらの病理進展仮説とともに注目を集めている.将来のPD発症のriskに関して便秘と嗅覚障害では感度は高いが特異度は低いとされる一方,REM睡眠行動異常では感度は低いが特異度が高いことが知られる.PDの初期診断におけるpremotor phaseの非運動症状の位置付け,その有用性に関しては今後も精緻な研究が必要である.
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(臨床神経, 53:974−976, 2013)
key words:パーキンソン病,非運動症状,診断,REM睡眠行動異常,嗅覚障害

(受付日:2013年5月29日)