臨床神経学

<シンポジウム(4)―17―5>ALSにおけるコミュニケーション障害とその対策:完全閉じ込め状態への挑戦

ALS患者におけるコミュニケーション戦略:脳外科からのアプローチ

吉峰 俊樹1), 柳沢 琢史1), 澤田 甚一3), 狭間 敬憲3), 望月 秀樹2), 平田 雅之1)

1)大阪大学大学院医学系研究科脳神経外科〔〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2〕
2)大阪大学大学院医学系研究科神経内科
3)大阪府立急性期・総合医療センター神経内科

ALS患者の基本的コミュニケーション手段がすべて失われて「閉じ込め状態」となったばあい,脳活動そのものから患者の意思を読み取る方法が考えられる.これは脳信号の計測技術と解読技術(デコーディング)の発達により現実のものとなってきた.「ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)」と呼ばれる技術である.BMIのための脳信号をとらえる方法には非侵襲的方法と侵襲的方法があるが,本稿では,脳神経外科的アプローチとして私どもが研究,開発を進めている低侵襲的出力型BMIを紹介する.世界ではじめてALS患者において臨床研究がなされ,「考えるだけで」コミュニケ―ションツールを操作できた例である.
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(臨床神経, 53:1405−1407, 2013)
key words:ALS,コミュニケーション,BMI,閉じ込め症候群,皮質脳波

(受付日:2013年6月1日)