臨床神経学

<シンポジウム(4)―16―3>パーキンソン病(PD)の自律神経障害〜全身とのクロストーク

パーキンソン病と消化管運動機能障害(L-DOPA血中濃度との関連性)

土井 啓員1), 榊原 隆次2), 岸 雅彦2), 露崎 洋平2), 舘野 冬樹2), 平井 成和1)

1)東邦大学医療センター佐倉病院薬剤部〔〒285-8741 千葉県佐倉市下志津564-1〕
2)東邦大学医療センター佐倉病院神経内科

パーキンソン病(PD)において消化管運動機能障害は高頻度でみられる自律神経系の合併症である.とくに胃排出能低下は,小腸上部へのL-ドパの到達を遅らせる可能性があり,薬物治療管理の視点から重要である.実際胃排出能低下がみられるPD患者では,L-ドパの血中濃度の立ち上がりが遅くなる割合が有意に高い.L-ドパの吸収遅延は薬効の発現に影響し,wearing-off,delayed-onを惹起する要因の一つといえる.六君子湯などの消化管運動機能改善薬は胃排出能の改善に有用である.経腸的L-ドパ持続投与法も進行期PD患者のL-ドパの血中濃度を安定させる選択肢として期待されている.
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(臨床神経, 53:1382−1385, 2013)
key words:パーキンソン病,自律神経障害,非運動症状,胃排出能,レボドパ

(受付日:2013年6月1日)