臨床神経学

<シンポジウム(4)―10―2>MG治療の現状を知り,今後を考える

眼筋型MG治療の現状(Japan MG registry 2012)と提言

鈴木 重明1)

1)慶應義塾大学医学部神経内科〔〒160-8582 東京都新宿区信濃町35〕

眼筋型重症筋無力症(MG)は日常生活における機能面あるいは外見上で支障を及ぼすことが多い.しかし治療では眼筋型MGに対するステロイドなど免疫治療選択の明確な基準はない.Japan MG registryに登録された676例のMG患者の中で,123例(20%)が眼筋型MGであった.全経過を通じて眼瞼下垂だけを呈した群(29%;P群)と複視をみとめた群(71%;D群)で比較したばあいには,P群で免疫療法がおこなわれる頻度が低かった.Ocular-quantitative MG scoreはP群で2.6 ± 0.7,D群で4.6 ± 1.7であった(p < 0.001).治療後の状態は両群で差はなく,軽微症状に到達しなかったのは全体で38%であり,そのQOLはいちじるしく障害されていた.眼筋型MG治療はptosis単独とそれ以外のdiplopiaを呈する2群に分けて治療戦略を立てるのが適切である.
Full Text of this Article in Japanese PDF (687K)

(臨床神経, 53:1303−1305, 2013)
key words:眼筋型重症筋無力症,複視,眼瞼下垂,unfavorable condition,QOL

(受付日:2013年6月1日)