臨床神経学

<シンポジウム(3)―3―2>脳梗塞急性期治療の最前線

rt-PA静注療法の現状とtime windowの延長

峰松 一夫1)

1)国立循環器病研究センター〔〒565-8565 大阪府吹田市藤白台5丁目7-1〕

国内治験の結果,recombinant tissue-type plasminogen activator(rt-PA)静注療法の有効性・安全性が海外臨床試験のそれとほぼ同等であることが確認され,2005年10月に国内承認が実現した.承認時に厚生労働省が要請した市販後全例調査,臨床試験の結果は,いずれも本療法の有効性を支持するものであった.本療法は超急性期脳梗塞の標準治療として定着したといえるが,国内での使用実態の地域格差は大きく,問題となっている.本療法の治療可能時間は当初3時間以内であったが,4.5時間目までの有効性がメタ解析で示唆され,さらに欧州の臨床試験でこれが証明された.わが国では,2012年8月に,発症4.5時間以内での保険適応が承認され,同年10月には日本脳卒中学会から適正治療指針第二版が発表された.本講演では,この治療可能時間延長の臨床的意義について論じた.
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(臨床神経, 53:1163−1165, 2013)
key words:アルテプラーゼ,急性虚血性脳卒中,ガイドライン,治療可能時間,起床時発見脳卒中

(受付日:2013年5月31日)