臨床神経学

<シンポジウム(2)―9―2>群発頭痛の病態解明と治療

本邦における群発頭痛の実態

今井 昇1)

1)静岡赤十字病院神経内科〔〒420-0853 静岡県静岡市葵区追手町8-2〕

本邦の群発頭痛の実態を明らかにするため,自験例110例(男性83例,女性27例:平均年齢38歳)の臨床像を検討し,国内および海外文献と比較した.自験例の66%は他院で診断されず発症から診断まで平均8.1年要していた.自験例と国内文献に共通した特徴は,1.慢性群発頭痛が少ない,2.不穏行動が少ない,3.不穏状態感と不穏行動の乖離がみとめられる,4.発作持続時間は約半数が1〜2時間,5.もっとも多い疼痛部位は眼窩部,6.もっとも多い自律神経症状は流涙,であった.海外文献との比較では1〜3の特徴は東アジアに共通し,疼痛出現部位,自律神経症状の出現頻度にも欧米と東アジアに相違をみとめ,群発頭痛の臨床像に人種差があることが示唆された.
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(臨床神経, 53:1128−1130, 2013)
key words:群発頭痛,診断,日本人,不穏状態感,人種差

(受付日:2013年5月30日)