臨床神経学

<シンポジウム(2)―7―5>筋疾患研究最前線

抗ミトコンドリア抗体陽性筋炎

清水 潤1)

1)東京大学医学部附属病院神経内科〔〒113-8655 東京都文京区本郷7丁目3-1〕

筋炎の病態は単一ではなく,さまざまな病態機序を背景としてもつ多様な病態の集まりで,臨床像,組織所見の特徴,出現自己抗体により特徴づけられる.抗ミトコンドリア抗体(Anti-mitochondrial antibodies; AMA)は原発性胆汁性肝硬変(primary biliary cirrhosis; PBC)に特徴的な抗体である.PBC合併またはAMA陽性筋炎は過去に75例の文献上の報告があり,自験例24例と合わせ臨床病理学的特徴を検討した.その結果,AMA陽性筋炎の中には,慢性経過,筋萎縮,心筋障害,肉芽腫性炎症を持つ症例が高頻度にふくまれることが明らかになった.AMA陽性筋炎は多様性がある筋炎の診断,治療,病態を考える上で重要な一群といえる.
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(臨床神経, 53:1114−1116, 2013)
key words:抗ミトコンドリア抗体,原発性胆汁性肝硬変,筋炎

(受付日:2013年5月30日)