臨床神経学

<シンポジウム(2)―5―5>神経疾患におけるMR 撮像法の最先端

MRIをもちいた発達に対するアプローチ

鈴木 雄治1)

1)新潟大学脳研究所統合脳機能研究センター〔〒951-8585 新潟県新潟市中央区旭町通1番町757〕

発達を評価するということは,小児神経の臨床にとっては常に求められている課題であり,MRIはそれを可能にする有用な方法の一つといえる.白質の髄鞘化をはじめとする発達にともなう微細構造や機能の変化は,水分子の動態に影響を与えることが予想され,見かけの拡散の変化としてDiffusion Tensor Imagingで観察できる.また,神経回路網の再編にともなうシナプス数(密度)や神経細胞の変化は,シナプス周辺部に存在する神経伝導物質に影響をあたえることが示唆され,1H-MR Spectroscopyをもちいることにより主要な神経伝達物質であるグルタミン酸の測定から解析可能である.これらの方法をもちいた発達の評価は,今後,発達異常のメカニズムの解明に役立つことが期待される.
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(臨床神経, 53:1100−1103, 2013)
key words:発達,拡散テンソル画像,MR スペクトロスコピー,グルタミン酸,固有値

(受付日:2013年5月30日)